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2006年4月 5日 (水)

Yahoo! Japan10周年と『ウェブ進化論』

ニフティがパソコン通信サーヴィスを終えたときに、Yahoo! Japanが10周年を迎えるのは何とも時代の流れを感じざるを得ない出来事です。Yahoo!は米国でも展開しているSNS(Yahoo! 360°)の日本版(β版)を展開中、mixi追撃に名乗りを挙げていますが、どうなるのか。

私が思いますに、当時のNIFTY-Serveにある種の「紐帯感」があったのは、「私はニフ」と言える、ある種の同志感、のようなものが存在していたことも(それは「紐帯感」の結果ともいえますが)大きな要因であろうと思います。(ひるがえって、「ココログ」にはそれは感じません。)

その意味では、mixiには「私、ミクしてる」と言える一体感がどこかにあります。それをYahoo!をバックにどこまで展開できるのか、Yahoo!の他のサーヴィスとの連動と言う意味ではボーダフォン買収と併せて注目ではあるのですが、MSNがかつて似たようなことをやろうとして激しく失敗したことを考えると、むしろ、どう「仕掛け」るのか?に注目の焦点があつまります。

さて、売れに売れている梅田望夫さん『ウェブ進化論』を採り上げるのは今更感もありますが、この書籍は梅田氏がCNET Japan、自身のブログ等で言わば「言い尽くした」ことの総括であり、事業的観点からは書籍化によるEXITであり、「こちら側」または「エスタブリッシュメント」への啓蒙でもあるのでしょう。448006285809_ou09_pe0_scmzzzzzzz_

さて、梅田さんがGoogleに多大な関心を寄せるその背景には、Googleが徹底して「技術志向」であることが挙げられます。私が注目するのは、Yahoo!が、Googleのアルゴリズムを極限まで推し進めて技術開発する一方で、YST(Yahoo Search Technology)を開発し続ける点です。Yahoo!は人間的要素をGoogleに比して重視していると言えますが、それがどう出るのか、梅田氏は決定的な回答の方向性を出していませんが、これは、極めて興味深い現象と言えます。言わば、Googleの基準が「神の視点」たり得るかを決する要素であると思われるためです。

私見では、究極的に技術志向であることでGoogleは今日的地歩を築いたものの、その技術志向性の故に、「神たる地位」から降りる日が来るであろうことを、何とはなしに予感します。グーグル・ニュースは便利ではありますが、アルゴリズムの持つ「味気なさ」を感じることも事実です。但し、かつてのマイクロソフトの戦略を読み解こうとする労力が大方は徒労と化したように、Googleの戦略を読み解く努力は徒労と化すのでしょう。Googleの方向性を決めるのは、結局のところGoogleにしかできないと言う一点で、ならば、むしろ『ウェブ進化論』で「神の視座」を垣間見ることには価値があると言うこともできるかと思います。

ウェブの持つ民主的要素云々は必ずしも私は同意しかねるものの、梅田氏の「陰があっても敢えて光を指し示す」そのオプティミズムは、陰影に富んでいます。その意味でも、「あちら側」に関心を持つ人は、購入して損はない書籍と言えるかと思います。

T.D.

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コメント

トラックバックありがとうございました。

ネットの世界ではもはやGoogleがルールみたいなところがありますもんね。YahooさんなどにもがんばってもらっていいWeb進化が起きるといいなと思います。

投稿: ぶろぶろぶろぐ | 2006年4月10日 (月) 18時34分

ぶろぶろぶろぐさん、コメント有難うございます。

そうですね、ネットの世界では「グーグルがルール」ですからね、現状。Yahoo!にも頑張ってもらって、いい意味での競合関係になって貰いたいものです。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2006年4月10日 (月) 19時07分

先日は「http://yudofu.seesaa.net/」へ、トラックバックありがとうございました(いま、少し引っ越して「http://yudofu2.seesaa.net」におります)。

グーグルによる情報の再構築や「神たる地位」は印象的でした。その視点からみると、グーグルのサイト管理者向けのページの意図も、なんとなくわかるような気がします。
個人的にはあまりに人的要素が入りすぎて、検索サイトから見たネットが広告ばかりになってしまうのもどうかと思いますので、そのあたりのバランスをとりながら、多様な検索サイトが競合していくといいなあと思ってます。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: seed | 2006年4月11日 (火) 23時17分

トラックバックありがとうございます。15年前ぐらいから「私もニフ」です。折角の機会ですから簡単にコメントします。
大学生あたりの年代のブログを読んでいて愕然とすることがありまして、それは批判精神が無さ過ぎることです。『ウェブ進化論』のような叩きやすい内容でもただ単に関心してしまうのは文部科学省の「成果」ではないかと思うほどです。
分かりやすいところでは『バカの壁』でも読めば、このあたりの陥っている「壁」には直ぐに気が付くのではないでしょうか。あるいは「神」がカウンターを入れたBMWを掲載しない程度のことをするのかどうか、よく考えて欲しいものです。
梅田氏個人については私のブログをご参照いただいていると思いますので、ここでは微熱日記さんがご指摘のヤフーとオプティミズムに関して。前者は同感でして、その影響力や今後の展開への記述が少ない点でグーグルの「広告本」とされてしまう所以でしょう。後者は私には陰影を見えず、梅田氏の信仰に近いものに嘔吐しそうになり、自分のブログに「吐き出した」という経緯があります。
書籍としては、用語解説および(『即効性アガリクスで末期ガン消滅! 』にような)広告本としてはそこそこの出来ですが、細かい事を言えば、言い訳がましい部分が多く、ブログの過去ログを整理して本にしただけのことはあります。それでも、私は図書館にないので購入はしましたが、、。

投稿: mmm | 2006年4月12日 (水) 05時45分

seedさん、コメント有難うございます。

確かに、バランスは難しいですね。Yahoo! Japanのサイトなど見ますと(利用者のレヴェルに適合させている?)ややそれこそ「チープ」かな、と思うこともあります。その辺のバランスを上手く取って、良好な競合関係を構築していって貰いたいものです。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2006年4月12日 (水) 06時45分

mmmさん、コメント、有難うございます。

確かに、連載ブログを纏めたものであるためか(ご指摘のように、ソフトバンク、楽天、ライブドアを十羽一からげで纏めている点など)「突っ込みどころ」は多い書籍と思います。

言わば、Googleの視点(「神の視座」)を理解するには役立つ書と言うのが私の見解です。啓蒙書故に「ツメが甘くなっている」部分もあるかと思います。「あちら側」と「こちら側」の二分法も、言わば排中律でしょう。ただ、これまでの梅田氏のブログを読んでいますと、敢えてGoogleを賞賛することで、「あちら側」の文化の「翻訳者」を買って出られているのかな、とも私は思います。

確かに、この本自体は陰影は感じられないかとも思いますが、(恐らくですが)米国の「ベスト・アンド・ブライテスト」に対する懐疑も(日本の「エスタブリッシュメント」に対するものと同様)、梅田氏は持っているのではないかと拝察する次第です。

但し、mmmさんご指摘の通り、本書を批評精神抜きに手放しに賞賛するのは、一方では考え物ですね。この点は私も同意致します。

投稿: tropical_dandy | 2006年4月12日 (水) 08時13分

TBありがとうございます。

この業界ではとにかくその動向が注目されるGoogleは
話題が本当に尽きませんね。

これから何をやってくれるのか。EPICでいわれるように
ゆくゆくはAmazonと合併するのか注目です。

投稿: hrc | 2006年4月12日 (水) 09時17分

トラックバックありがとうございます。

『Yahoo!が、Googleのアルゴリズムを極限まで推し進めて技術開発する一方で、YST(Yahoo Search Technology)を開発し続ける点』
『Yahoo!は人間的要素をGoogleに比して重視していると言え』る
これは私もとても興味深いように思います。
人間的要素を集合(著者の言葉をかりれば不特定無限大)としてとらえてその傾向をとらえたら、それは技術開発で読み取ることができて、するとそれは人間的要素を失っていくのか、などということを考えました。

投稿: たろ | 2006年4月12日 (水) 09時44分

たろさん、確かにその視点は有り得ますね。

Googleが人間的要素も一つの集合として把握するならば(恐らくそうしようとしているのでしょう)、Yahoo!の試みは、その集合の重みの軽重で判断されることになります。何れにせよ、GoogleとYahoo!のチャレンジとその結末を見届けたいと思っています。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2006年4月12日 (水) 09時51分

TBありがとうございます。

Yahoo!10周年。

感覚ではまだ10年しか経っていないのかって感じですが、ネットの世界で10年といったら一つの大きな歴史ですね。

この先10年後がどうなっているのか?
誰にもわかりませんが、その道筋を作ったものが勝者となるんでしょうね。

それは果たしてGoogleなのか…。

投稿: ko-ichi | 2006年4月12日 (水) 21時16分

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