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2005年9月11日 (日)

「成果主義」の誤謬

起業するときに-少なくとも私は-数値目標は立てませんでした。それは、会社が成長フェイズにあるときも一緒。結局のところ、ある商材を世に商品として出して、お客様の評価を解析しつつ、データ・マイニングを行っていく-これに優るマーケティングはないと思っています。

結局のところ、未来に関する予測と言うのはごくごく近い将来の予測に留まる。かといって、過去の実績がそのごくごく近い将来に適用できるか、と言えば、参考意見の域を出ない。同じ状況は、ビジネスには存在しないのですから。

その意味で所謂「成果主義」と言うものも、大きな問題を孕んでいます。勿論、それがどのフェイズの企業であるかによって「成果主義(的給与体系)」の有効性は異なります。この点は、軽視できないポイントです。しかしながら、「成果主義」と言うのは過去を基準に将来の(未知の)事業案件に対する給与評価を予め行うことに他ならない。機動性と言う一点で、過去志向であることは大きなマイナスポイントです。

さて、もう一つの問題。成果主義を導入すれば(1)生産性が向上し、(2)人件費が抑制できる、という論。さて、成果主義が有効に機能すれば(生産性が総じて向上すれば)人件費は高騰します。しかし、そのような幸運な事態と言うのはなかなか発生しない。成果主義の力点は(2)の方にあるのですね。つまり、成果主義的給与体系は「一部の優秀な人材」を優遇する制度に他ならず、割を喰った「その他大勢」の人件費は抑制されます。

経営者としては言うことなしのようですが、結果、全体としてモチヴェーションは低下します。多くの企業で抱えている問題かと愚考します。そもそも、職能によって、「成果」なるものは質的に異なるのが当然です。その質的に異なる成果を管理者がどう公平感を持って評価するか、が管理者の仕事。あらゆる職能の成果を数値化するのは無理がある。これが「成果主義」が導入され始めた頃の私の感想でしたが、どうもそのような事態が各所で発生しているようです。

ただ、この制度も使いようによっては有効だと言うのが私の見解です。その解は既に書きましたので繰り返しは避けますが…。

T.D.

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コメント

こんばんは~。
テーマが近いのでトラックバックを送らせていただきます。

「成果主義」に関していうと、個人的には成果主義でも一向に構いません(笑)。
ただ、「成果主義」を無原則に社会全体に適応するのは大変に危険なことだと考えています。

ところで選挙は「出口調査」で自民大勝利と報道されています。
やはり、皆さん「成果主義になると自分はもっともらえる」と考えているんですね・・・。

投稿: 喜八 | 2005年9月11日 (日) 20時17分

喜八さん、こんばんは~。

成果主義は、最終的には、企業の生産性を下げるのではないか、と言うのが私の仮説です。そして、現にそのようになっているのではないかと思います。

そして、経営者の論理で言えば、成果主義を導入すれば、利を得るのは「ごく一部」だ、と言うことです。これは確かです。今回の選挙がそのアナロジーで語れるかはまた別の問題としてぜひ喜八さんともお話したいところなのですが、優勝劣敗を極限化すれば、利を得る者は数少ない、その点は喜八さんと全く同意見です。

何れにしても「成果主義」には多くの誤解があるな、というのは私の(少ない期間ながら)人事労務制度をハンドルしての印象です。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年9月11日 (日) 22時03分

T.D. さん、こんばんは。

「成果主義」についてはあまり知識がないのですが、いつものようにナイーブなことを書いてみます・・・。

「成果主義」「民営化」「市場原理」。これらに関して私は「絶対反対!」という立場をとっているわけではありません。それぞれ上手く使えば大きな効果を得ることができるツールだと考えています。

けれども使い方が難しいでしょうね。ウカツに導入するとシステムを徹底的に荒廃させる可能性があります。適度に使えば「良薬」、使い方を間違えれば「毒薬」となる強い薬だと思っています。特にその適用範囲は慎重に制限されるべきです。国家全体に無原則に適用しようという新自由主義的な考え方などは乱暴きわまります。

企業内において「成果主義」を実施する場合に限っても、難しい点は多いでしょう。まず「成果を判定する者の資質」が問題です。たとえば「年功序列」で現在の地位を得たような上司が「成果主義」で部下を評価するなんてことが実際にできるものでしょうか? 判定者の能力が足りなかったり、あるいは悪意があったりすると「成果主義」は機能しないのではないかと思います。

> ただ、この制度も使いようによっては有効だと言うのが私の見解です。その解は既に書きましたので繰り返しは避けますが…。

あれ? 「解」をすでに書いていましたか?
どうも見逃してしまったようです(汗)。
T.D. さんのこのブログは毎日のように覗いているのですが・・・。
すみませんが記事の URL を教えていただけないでしょうか?

投稿: 喜八 | 2005年9月12日 (月) 20時12分

喜八さん、こんばんは~。
喜八さんにご説明するのは「釈迦に説法」だと冷や冷やしております(^^;。

まず「解」につきまして、私の書き方が不親切で申し訳ありません。「どのフェイズにある会社かによって異なる」趣旨、これは、この記事中に書いたことを指します。具体的には、特定のプロジェクト結了をもって清算することを前提とした会社の場合です。詳しいご説明は以下にします。

そもそも「成果主義」ですが、私の定義では「成果なるものを定数的に評価し、賃金体系に組み入れるシステム」と考えています。これに対置される概念は「能力主義」です。これは、「長いスパンで能力を定性化して評価し、賃金体系に組み入れるシステム」を指します。(これで、「解」の理由がお判り頂けたかと思います。日本で「年功序列」と言われているものは、私は、実は「能力主義」に属するものではないかとも考えています。)

「能力主義」は「年功序列」とイコールとは思いません。と言うのは、完全な「年功序列」を実施している会社はないのではないでしょうか。どの企業も、独自の人事労務システムの下である評価を社員に下していて、その評価は必ずしも「右肩上がり」にはなっていない、と言うのが本当のところではないかと思います。

確かに、喜八さんの言われる「評価者」の問題はあります。どの賃金体系でも評価に個人差が表れるのは避けられないのが現実ではないでしょうか。ただ、短期的な「成果」で評価を判断する「成果主義」の方がその恣意性が表れやすいと言う見方も可能かと思います。

喜八さんのご指摘の通り、如何に優れた点があるシステムでも、そればかりに傾斜するのは危険なことだと、私は思います。企業であってもそうなのですから、国家運営であれば尚更だと、思っています。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年9月12日 (月) 22時41分

T.D. さん、おはようございます。

「成果主義」と「能力主義」を「対置される概念」としますか!
私は大雑把に両者は同じようなものと考えていました。(^_^;)
「年功序列」を「能力主義」に属するというのも大胆な仮説ですね。

今回の選挙結果についてブログ記事を書こうと思いつつ、なかなか実行できずにいます。
やはり、ショックが大きかったのだと実感しています・・・。

投稿: 喜八 | 2005年9月14日 (水) 06時09分

喜八さん、こんにちは。

「成果主義」と「能力主義」は混交して用いられることもあるのですが、概念的には区別して用いられることが多いようです。「年功序列」が「能力主義」に属するというのも、残念ながら私の独自説ではなく(^^;、「日本型年功制」は「能力主義」に属すると、講学上分類することもあります。もっとも、これは私の経験則による実感でもあるのですが…。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年9月14日 (水) 11時04分

> 。「年功序列」が「能力主義」に属するというのも、残念ながら私の独自説ではなく(^^;、「日本型年功制」は「能力主義」に属すると、講学上分類することもあります。

あっ! そうですか!
発言のたびに無知をさらけだしているようです。(^_^;)
成果主義といえばミュージシャンを売り出すという T.D. の会社はそれこそ「まるごと成果主義」ですね。
大ヒットをとばすアーティストが現れて、ガッポリと稼ぐことをお祈り申し上げます!

投稿: 喜八 | 2005年9月14日 (水) 20時33分

喜八さん、こんばんはー。

励ましの言葉、有難うございます。
自分では成果主義的な仕事だ!とか思ったことなかったんです。もうそういうものだと言う感じで・・・。確かに自由主義経済ってこんな感じなんでしょうね。ただ、アーティストを育てることってちょっと農業に似ているんです。収穫までには時間がかかるものですから、手間を惜しまずゆっくりと耕していく、と言う感じです。その意味ではスロー・ビジネスです。折衷的な感じですね。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年9月15日 (木) 21時16分

すみません。
9月14日の書き込みでは T.D. さんのことを呼び捨てにしてしまっていました。
大変に失礼しました。

年上・年下に限らず「さん」をつけて人を呼ぶのは私の「老獪にして愚直、愚直にして老獪」戦略の一端です。

> ただ、アーティストを育てることってちょっと農業に似ているんです。収穫までには時間がかかるものですから、手間を惜しまずゆっくりと耕していく、と言う感じです。

たしかに収益だけが目的ではできない業種ですね。金だけだったら、もっとワリに合う仕事はたくさんあるでしょうから(笑)。

投稿: 喜八 | 2005年9月16日 (金) 21時55分

喜八さん、おはようございます。

あ、いえいえ、お気になさらずに!
確かに好きでないとやっていられない業種ではありますね。割に合うかといえば、合わないことの方が多いですから(苦笑)。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年9月17日 (土) 11時56分

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