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2005年8月18日 (木)

ウグイしか棲まない湖

宇曽利山湖、という湖が青森は恐山にあります。強酸性の湖で、かなり強烈な硫黄臭が漂っています。

この湖、魚類はウグイしか生息していません。強酸性の湖としては希少例として世界的に注目される湖とのことです。カルデラ湖ゆえ携帯も繋がらず、その限りにおいて外界とのコンタクトはできませんし、冬季は道路も閉鎖されるため、そもそも近づくこともできません。湖面はコバルトブルー、透明度も高く、とても美しい印象を持ちますが、生物の棲む環境としては、苛酷です。ウグイは鰓が特殊な進化を遂げているらしい。

周囲には樹木はなく、噴気孔が多い。一種異様な光景です。しかし、自然の持つ苛酷さを体感するには最適の場所の一つと言えます。まだご覧になったことのない方、まだ道路閉鎖まで今年も時間がありますので、お薦めのスポットです。秋の宇曽利山湖はまた格別だと思います。

この湖を訪ねて、思い出したのは屋久島です。屋久島で登山中、ちょっとした水溜りにヤマメが泳いでいました。「昔はヤマメなどいませんでした。ヤマメを放して餌を与えた観光客がいたのでしょうね。ヤマメが棲めるほど、屋久島の水は汚れてしまった、ということです」とガイドさんは説明してくれたものです。

自然は、時に、かなり峻厳です。あまり興味本位で覘いてはいけなかったかな、と思うこともしばしばで、もちろん、都市から自然を求めて自然の豊かな地へと赴いているのに自己矛盾ですが、ダイバーとしての私は、ダイビングの本数を重ねれば重ねるほど、海に対する畏敬の念を深めていることを、実感します。

自然とどう向き合うか、ということは人類普遍のテーマなのでしょう。満開の桜の下には・・・という文章がありました。確かに狂い咲きしている夜桜は風雅といえば風雅ですが、一種の恐怖感も覚えます。それは、都市部にあっても自然の何ものかに向き合えるいい機会だと、思っています。

まとまりのない文章になってしまいました。種は、その環境に応じて進化を遂げます。慶良間で見た海の美しさを、私は忘れることはないでしょう。共生していくことは、時に難しくても、多様なものと「共にあること」が要請されているのは、単に外交問題、国内問題に限らないと、私は思います。それが困難なことであっても、言わば「一蓮托生」、皆が同じ土俵に上れるし、そういう価値観も存在し得ることだと、私は思っています。

T.D.

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コメント

興味深く読ませていただきました。
ウグイの喩えでいいますと、苛烈な環境のようで、他の生物を寄せ付けないところがありますね。
そうなると「共生」とはちょっと違った文脈の話と捉えましたが、如何でしょうか?

投稿: 通りすがり | 2005年8月25日 (木) 01時03分

通りすがりさん、コメント、有難うございます。
確かに強酸性の湖である宇曽利山湖の生態環境は苛烈です。しかし、ウグイはこの環境にも順応し、特殊な進化を遂げながらも、この苛酷な状況下で共生するために自らを変えることを選択しました。これを私はウグイと宇曽利山湖との「共生のかたち」だと思っています。

もちろん、こののような苛烈な環境での共生も自然の持つ峻厳さを体感させてくれる点で尊い、と思っています。他方、いろいろな環境でいろいろな「共生」があることは見逃してはならないことだろうと思います。

自然は峻厳です。確かに、多くの種はウグイのように共存できず、死に絶えたと。そこで、ウグイのにどのような自然にも順応できる強やかさを強く感じます。「共生」にも一通りではないいろいろなあり方があること、これが素晴らしい、と私は思います。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年8月25日 (木) 01時30分

ご回答ありがとうございました。つまり、ウグイはウグイでその湖とは上手く共生している、ということでしょうか?

投稿: 通りすがり | 2005年8月25日 (木) 01時49分

たびたび有難うございます。そういうことと思います。
ただ、それは非常に他の種にとって苛烈な環境。
いろいろな種がそれこそ共生できる環境もまたある、と。
いろいろなものがあっていいし、いろいろなものが存在できる。
これが「豊かさ」を測る一つの指標になると思います。

T.D.

投稿: tropical_dandy | 2005年8月25日 (木) 02時03分

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