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2005年7月22日 (金)

NPBの今後

讀賣の次期監督に原辰徳氏の名前が取り沙汰されています。この時期に既に新聞辞令が出るという事態が異常と思われますが、渡辺恒雄氏が讀賣巨人軍の会長職に復帰してから、早くも来期を睨んだ噂話には事欠かない状況です。

個人的には「竜虎対決、いよいよ後半戦、面白くなって参りました!」という時期でもあり、そもそもスタジアムの外の出来事には余り関心が無い私にとっては迷惑千万な話だったりもするのですが(苦笑)、讀賣の人事が一定のニュース・ヴァリューを維持している事実にはちょっと感心。

ただ、ことは恐らく讀賣の監督交代がどうこうというレヴェルで収束する話でもなさそうな予感はあります。西武ライオンズは親会社である西武鉄道の現状から、来年も球団を維持できるのかという声もあります。インボイス社長が買収絡みの話を何度かされました(その度にインボイス社の株価は下落)し、オリックスの主催ゲームには閑古鳥が鳴いているという話も聞きます。

そうなると、何らかの形で再編は不可避なのでしょうか。ホークスの王監督は、さすがに王さんらしい律儀さで「もし1リーグ制になるのであれば」という前提つきで、複数の具体案を出されています。もちろん、王監督のこと、「質問されたから回答した」という事情はありましょうが、パリーグ屈指の人気球団のホークスの現場(王監督は球団副社長も兼ねられていますが)からも出るという事態は、球界そのものが「抜き差しなら無い事態に来ている」ということを意味するのではないかと、一抹の不安を覚えるものです。

野球興行は、新規参入の場合、加盟料だけで30億円、必要に応じて既存球場を改修しなければならない場合(宮城球場→フルスタ宮城のケース)など、典型的な「膨大なコストがまず先に出て行く」事業でもあります。地上波の放映権料が以前ほどの絶対性を喪失しつつある今、鍵となるのは観客動員力。・・・ではあるのですが、その年のシーズン順位に左右されるところも(球団によりますが)大きいのは事実。通常の事業活動における「旬」といいますか「繁忙期」が見え難い。短期的回収には向かない事業形態です。

そこで登場するのは、これは文化事業である、というアングルです。一般に、ですが、文化事業は「継続性」が大きな鍵となります。「継続性ある地域密着」といってもいいでしょう。そうなると、例えばですが、短期間に初期投資を回収する、というビジネスモデルとは非常に相性が悪い。典型例は、IT産業から初参入した東北楽天です。

東北楽天は「パリーグの球団でありながら単独黒字を目指す」ことが目標とされています。それに関するNHKのドキュメント番組も放映されるなど、「球団経営の在り方」に大きくスポットライトが当たっている印象を受けます。東北楽天は、スタッフ・選手に中日OBが多いという意味において、注目している球団ではありますが、「黒字化を目指す」オーナーの姿勢がメディアで採り上げられる度、私は違和感を覚えます。

単黒を目指すことはチャレンジングだとは思いますが、そもそもプロ野球はプロスポーツであって、ファンは、選手の一挙手一投足を観るためにスタジアムに足を運ぶ、これが原点です。経営者が経営努力をする、これは当然のことで、社内会議の模様までTVカメラを入れる必要は、なかったのではないか。これは綺麗事ではなく「夢を売る商売」ですから。それはファンの目の届かないところで展開して頂きたかったと思わずにはいられません。

このような舞台裏を見せる必要はなかったと、私は思っています。仮にですが、インボイスがライオンズを買収した暁には、同様のことをするのか、私には不安が残ります。興行である以上、主役は選手であり、対価を支払うファン・・・というと、当たり前過ぎるような話に収束しますが、興行であるからには、「役者とお客」あってこそ、というのは自明です。

かつて、メディアを通じて「全国区のスター」を生み出し、その放映権料で一世を風靡した讀賣巨人軍(確かに70年近く国民的娯楽の王座に君臨したことは特筆しても良いことなのでしょう)の作り出した、言わば「正力・務台体制」は、経営的観点という一点においては巧妙でした。

ただ、その興行の在り方が行き詰っている、ないしは、他球団が、他に生きる道を模索している状況下で、讀賣巨人軍の渡辺恒雄会長が何をするのかは注視していかなければならない問題ではあろうかと思っています。但し、一人の人物がキーパーソンとなり得る事態は、健全とは言い難い。

NPBの最高意思決定機関は、オーナー会議です。オーナーは当然ながら12名。何らかの球界再編に向けての動きがあった際に、讀賣の意向に「右へ倣え」ではなく、議論百出となることを希望します。

T.D.

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